不動産関連のコラム

コロナ禍の不動産トラブル事情② ─ 任意売却

本ページの記事は、前号「コロナ禍の不動産トラブル事情① ─ 住宅ローン滞納」の続きです。

コロナ禍の影響で収入が減少し、住宅ローンの返済に行き詰まる人が増えています。やむを得ず、自宅を売却してローン返済に充てる「任意売却」を選択する人も少なくありません。任意売却とはどういうものなのか、まずはそのメリットとデメリットについて解説します。

【Q1】任意売却のメリットとデメリットとは?

はじめに任意売却のメリット(5項目)について、次にデメリット(3項目)について解説します。ひとつずつ確認していきましょう。

任意売却のメリット
  1. リースバックや親子間売買で住み続けられる
  2. 市場相場で売却できる
  3. 手出しがかからない
  4. プライバシーが守れる
  5. 売却後の住宅ローン残債を無理のない範囲で返済できる
①リースバックや親子間売買で住み続けられる

自宅を任意売却した後、これまでなら次の住処への引っ越しを考えなければなりませんが、最近では売却した家にそのまま住み続けられる「リースバック」という仕組みが人気です。
リースバックとは、不動産会社や投資家などの第三者へ自宅を任意売却して、新所有者と賃貸借契約を締結してそのまま自宅に住み続けるという方法です。第三者だけでなく、親子間売買もできます。身内が購入してくれるのであれば債務者も安心できるのではないでしょうか。親子間の関係が良好であれば、トラブルにもなりにくく、遠慮せずにお互いの主張を伝えられます。「子どもの学校区を変えたくない」「親の介護のために住み続けたい」など、さまざまな事情があって引っ越したくない方には、おすすめの選択肢です。リースバックは、愛着ある家にそのまま住めることがメリットです。
ただし利用の際は注意点もあり、親子間だからといって市場価格よりも著しく安い金額で自宅を売却すると、税務署に贈与とみなされ自宅を購入した側に贈与税が課されるおそれがあるのでご注意ください。

②市場相場で売却できる

任意売却は競売と異なり、市場相場での売却が期待できます。競売の場合、落札価格は市場相場の6~7割程度といわれていますが、任意売却は市場相場での売却が期待できるため、その分ローン残債を減らせます。

③精算のための手出しが省ける

通常の不動産売却であれば、不動産仲介手数料や登記費用などの諸費用を準備する必要がありますが、任意売却の場合、債権者(金融機関)から合意を得れば売却代金から精算できます。住宅ローンの支払いができなくなった背景には、手元にお金がないといった事情を金融機関も理解しており、売却にかかる諸費用を売却代金から支払うことを認めてくれるケースがあります。

④プライバシーが守れる

競売の場合、官報やインターネットなどに掲載されるので、住宅ローンを滞納して競売になっている事実が周囲の人に知られてしまいます。
一方、任意売却の場合は通常売却と同様の方法をとるので、住宅ローンを滞納している事実を知られずに売却できます。プライバシーに配慮して売却したい方に任意売却は最適です。

⑤売却後の住宅ローン残債を無理のない範囲で返済できる

任意売却してもローン残債がある場合、今後の支払いについて金融機関は融通を利かせてくれるケースが多いです。任意売却を利用する時点で、手元にお金がないということなので、一括返済は困難です。無理のない範囲で返済できる分割払いに変更してもらうこともできるので、債務者の負担を軽減できます。


任意売却のデメリット

  1. 個人信用情報機関に延滞履歴が残る
  2. タイムリミットがある
  3. 売れない可能性もある
①個人信用情報機関に延滞履歴が残る

住宅ローンの滞納が3か月以上になると個人信用情報機関へ通達されるため、いわゆるブラックリストに載ります。延滞履歴が記録されてしまうと、新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが一定期間できなくなってしまいます。

②タイムリミットがある

任意売却のタイムリミットは「競売改札日の2日前まで」です。競売の手続きが始まってしまうと任意売却はできなくなるので、競売改札日から逆算して任意売却の手続きを進める必要があります。
任意売却を成功させるためには、なるべく早い段階から売却準備を進めていきましょう。

③売れない可能性もある

当然のことではありますが、任意売却したくても必ずしも売れるとは限りません。立地や建物自体に需要がなかったり、物件に瑕疵があったりすれば、売れない可能性は高いです。不動産はただでさえ流動性の低い資産であるため、競売開始までに任意売却できないケースも十分に考えられます。

【Q2】任意売却の流れを知りたいです。

住宅ローンを滞納すると、具体的にどのようなことが起きるのでしょうか。滞納から任意売却への流れを理解しておきましょう。

  1. 住宅ローンの滞納発生: 
    任意売却は、住宅ローンを滞納している状況が前提となります。金融機関から手紙や電話で督促の連絡がきます。
  2. 「期限の利益」の喪失: 
    3か月~6か月住宅ローンを滞納すると、ローンを分割して支払うことができる「期限の利益」という権利がなくなり、ローンの一括返済を求められます。
  3. 任意売却を選択する: 
    競売をするメリットはないので、債権者である金融機関や連帯保証人などの合意を得て任意売却を選択します。
  4. 不動産会社に相談・依頼: 
    自宅を売却するためには、不動産会社に状況を説明して売却を依頼します。任意売却は、債権者との交渉や裁判上の手続きなど、通常の売買よりも専門的な知識が求められます。相談・依頼をする場合は、任意売却の実績のある不動産会社を選ぶようにしましょう。もちろん、五條建設も任意売却の実績がある不動産会社です。是非ご相談ください。
  5. 価格査定: 
    任意売却は迅速に売れることが重要で、売れない値段をつけてしまっては競売になってしまいます。売主や債権者は1円でも高く売れるのが望みですが、債権者が納得し確実に売却できる金額をつけることが大切です。
  6. 債権者の合意: 
    物件を売却するには、査定された価格で売っても良いと債権者に合意してもらう必要があります。
  7. 売り出し: 
    債権者の合意を得られたら、いよいよ売却活動を開始します。通常の売買同様に、インターネットやチラシ広告を出して買い手を探します。
  8. 売買契約: 
    買主が決まったら、買主と売主で売買契約を締結します。任意売却の場合は手付金を売主に渡せないので、手付金は仲介業者に預ける旨を売買契約書に明記します。
  9. 債権者と売買代金の承諾・配分の調整: 
    売買契約が終われば、売買代金の承諾と配分の調整をおこないます。事前に大筋の合意は得ていますが、引っ越し代の捻出の交渉です。
  10. 決済および抵当権の抹消: 
    契約からおよそ1か月をめどに決済をおこないます。決済日に売買代金を精算し、債権者は抵当権の抹消や競売を取り下げる書類を司法書士に渡し、所有権移転と抵当権抹消をおこないます。

「任意売買」のご相談も五條建設へ。

任意売却を成功させるには、迅速に段取りを踏む必要があるので、信頼のできる不動産会社に仲介の依頼をするようにしましょう。
五條建設では「任意売買」についても、スピーディーな対応はもちろん、弊社による直接買取りなどの選択肢もご用意して、多角的に対応策をご提案いたします。

関連情報

本ページの関連記事はこちらからご覧いただけます。

 

上へ