不動産関連のコラム

はじめての不動産売却 ─ 準備から売却後までの流れ

「家」を売る時とは、一般的にどんな時でしょうか?

  • ライフスタイルが変わって住み替えをする時。例えば、出産・子の成長や独立・ご家族の転勤・離婚等です。
  • まとまったお金が必要な時に、所有不動産の一部を売却するケースもあるでしょう。
  • 親が亡くなり実家に住む人がいなくなった時、その空き家の売却を考える人もいるでしょう。

そして、次に出てくるのが「家ってどうやって売るの?」「できれば高く売りたい!」でしょう。不動産の売却は一生のうちに何度も経験するものではありません。初めてなら不安を感じて当然ですが、取引の流れが分かればリスクを減らすことができ、売却時の立ち回り方も大きく変わってきます。今回は、不動産売却の未経験者向けに、「売却準備」から「売却後の対応」までをやさしく解説します。

【STEP 1】相場調査・査定依頼

まずは不動産の価格相場を知ることからはじめますが、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

机上査定とは・・・

住所や築年数、広さなどのデータをもとに、これまでの取引実績や路線価等と照らし合わせて算出する方法です。路線価とは、簡単にいうと、国が定めている宅地の評価額のことです。宅地が面している路線(道路)によって評価額が決まっています。国税庁のWEBサイト「路線価図・評価倍率表」でご確認いただけます。
家の状態や立地条件、道路付け(※)、土地の形状などは加味されておらず、限られた情報で試算するため訪問査定と比べると当然ブレが出てきます。手軽に依頼でき、1~3日以内に査定金額がわかるので、早急に売却価格の概算を把握したい場合に、机上査定がおすすめです。
※道路付け:宅地と道路が接する方角とその道路の幅員のこと。

【 参考:路線価図・評価倍率表(国税庁)

訪問査定とは・・・

その名の通り、実際に物件の現地調査をおこなって算出する査定方法です。建物や室内の状況、土地の形状などさまざまな観点から査定して、価格を算出します。そのため、築年数の経過した物件でも手入れをしていない物件とリノベーション済の物件では当然価格が異なります。

WEBサイトで相場を知る方法もあります

一般の方でも閲覧できる「レインズマーケットインフォメーション」や「土地総合情報システム」というWEBサイトを利用すれば、ご自身でも相場を調べることが出来ます。ここには、実際の取引価格や成約した物件情報が掲載されています。時期によっても価格が変動するので、より正確な査定価格を求めるには不動産会社に査定を依頼した方がよいと思いますが、これらのWEBサイトを利用して、あらかじめ相場価格を把握しておけば、不動産会社によって算出された査定価格が適正なものか、ある程度判断ができるようになります。
これらのWEBサイトにご興味のある方は下リンクの関連記事にてご覧ください。

【 関連記事:所有物件の相場価値を知る ─ 【Q1】相場を知る方法は?


複数の不動産会社に査定依頼

次のステップは「媒介契約」です。査定依頼した会社の中から、媒介契約を結ぶ不動産会社を選びますが、その際に気を付けたいのが「査定価格だけで決めてはいけない」ということです。もちろん、査定価格も重要ですが、下記の3事項もよく確認したうえで、契約する会社を決めましょう。

  • 査定価格算出の根拠
  • 販売戦略(例:物件情報の公開方法)
  • 売れなかった場合の対処

不動産の契約は、商取引の中でも高額商品を取り扱います。売却依頼をした後のトラブルを避けるために最初の段階で、上記事項を確認しておくことをおすすめします。

【STEP 2】媒介契約を不動産会社と結ぶ

一般の人が不動産を売ろうとするとき、売買に関わるさまざまなやり取りを不動産会社に代行依頼します。このときに、不動産会社と売主との間で取り交わす契約のことを「媒介契約(ばいかいけいやく)」といいます。媒介とは「仲介」や「あっせん」と同じ意味で、売主と買主の間を取り持ち取引を成約させることです。媒介契約には3種類あります。

①一般媒介契約

複数の業者に売却の依頼ができる契約です。依頼者は契約した不動産会社を通さずに自分で取引相手を探す「自己発見取引」もできます。業者間で競り合ってくれそうだし、買主への露出も増えそうなので、一見すると売主にとっては一番有利な契約に思えますが、不動産会社側からすると、その他の契約形態よりも経費が回収しづらいので、注力もしづらくなります(業界内ではよく聞かれる話です)。しかも、一般媒介契約は、指定流通機構(レインズ)への登録義務や売主への販売活動状況の報告義務はありません。そのため売主としては、どのような販売活動をしているのか、把握しづらいというデメリットもあります。

②専任媒介契約

1社だけに売却の依頼をする媒介契約です。1社指名なので、依頼された不動産会社のモチベーションは前述の「一般媒介契約」と比較して高くなることは想像に容易いと思います。多くの依頼主が、この専任媒介契約を選択する傾向にあります。
この媒介契約の場合、不動産会社は指定流通機構(レインズ)への登録は媒介契約締結日から7日以内、売主への状況報告は2週間に1回以上おこなう義務があります。
自己発見取引も可能ですが、不動産売買の初心者が、自分で買主を見つけて売買取引まですることは、かなりハードルが高いと思います。しかも買主が住宅ローンを使用する場合は自己発見取引が出来ないこともあります。もし自己発見取引を考えていないなら、報告頻度が増える後述の「専属専任媒介契約」を選んだ方がよいと思います。

③専属専任媒介契約

1社だけに売却の依頼をする媒介契約で、自己発見取引が禁止されています。そのため、売主が自ら買主を見つけても、必ず媒介契約した不動産会社を通して売却しなければなりません。不動産会社は指定流通機構(レインズ)への登録を、媒介契約締結日から5日以内におこなう義務があります。また、売主への販売活動の状況を1週間に1回以上報告する義務があります。
一般的に3カ月間は契約を継続しなければなりませんが、上記の義務が実施されないようなことがあれば、途中で契約解除できることがあります。3カ月後に契約継続する必要もありません。

契約の種類有効期間売主への報告義務指定流通機構(レインズ)
への登録義務
一般媒介契約なし義務なし義務なし
専任媒介契約3カ月以内2週間に1回以上、業務状況を報告媒介契約締結日から7日以内に登録
専属専任媒介契約3カ月以内1週間に1回以上、業務状況を報告媒介契約締結日から5日以内に登録

媒介契約ごとに特徴が異なるため、ご自身の状況や物件によって選択が変わります。どの媒介契約を選択すれば良いのか判断がつかない場合は、不動産会社へ相談しましょう。

【STEP 3】売却活動

媒介契約が取り交わされると、いよいよ売却活動がはじまりますが、その前に売主が用意しなければならない書類等があります。不動産の種類(戸建、マンション)や、売却方法によって用意する書類が異なり、平日の特定の時間しか交付ができない書類もあるので、あらかじめ不動産会社に確認しておきましょう。

さて、不動産会社の主な売却活動は、インターネットやチラシなどを利用した広告です。そして、購入希望者が見つかったら物件の内見をおこない、購入希望者から正式な買い付け申し込みがあると、売買価格や条件、引渡しなどについて調整をおこないます。
売主・買主ともに価格や条件などに合意すれば、「売買契約」を取り交わします。

【STEP 4】売買契約を結ぶ

売買契約の際は指定された契約場所と日時に、売主・買主・それぞれの不動産会社の担当者が集まって契約をおこないます。契約場所は、宅建業登録をしている不動産会社の事務所でおこなうのが一般的です。買主が購入する不動産について勘違いなどがないように、宅地建物取引士が重要事項の説明をおこないます。法律上は買主だけに重要事項説明書をすれば良いのですが、売主も署名押印をしますので内容に間違いがないか、売主も同席して読み合わせするのが一般的です。重要事項説明に続いて、売買契約書の読み合わせもおこない、双方合意のうえで署名押印をします。
なお、一般的には売買契約締結時に買主から売主に手付金の支払いがおこなわれます。

【STEP 5】引渡し・決済

売買契約後から引渡し・決済までの期間は、何も条件等がなければ1カ月~2カ月ぐらいが一般的です。引渡し・決済の当日は、金融機関に売主・買主・司法書士・金融機関の担当者・不動産会社の担当者が一堂に会して手続きを進めていきます。引渡し・決済時に売主から買主へ所有権移転登記の手続きをおこなって、物件を引き渡します。引渡しの際に、権利証や物件の鍵を買主に受け渡し、売買契約は完了です。

なお、売主には契約不適合責任があります。契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容に適合していないと判断された場合、買主に対して売主が負う責任です。引き渡した後に、買主の知らない瑕疵(物件の不具合)が見つかったり、近所にクレーマーがいるのを知らされていなかったりする場合は、売主は責任を問われる可能性があります。売主も気付いていない欠陥が売却後に発見されることも考えられ、「知らなった」では済まされません。このような事態を回避するために有効なのが「インスペクション」です。売買取引が成立後にトラブルにならないよう、物件に瑕疵がないか専門家に確認してもらえます。
インスペクションについては、下記リンクの関連記事内で詳細に説明してます。

【 関連記事:所有物件の相場価値を知る ─ 【Q2】査定に影響する条件は?

【STEP 6】確定申告

不動産を売却して「売却益」が発生した場合は、確定申告をおこなう必要があります。売却益は「譲渡所得」と呼ばれ、譲渡所得税の課税対象となり確定申告が必要です。譲渡所得は、売却代金(譲渡価格)から譲渡費用や取得費を差し引いた利益を指すので、譲渡所得が発生しないケースもあります。譲渡所得は以下の計算式で求められます。

譲渡所得=譲渡価格-(譲渡費用+取得費)

「譲渡費用」とは、売るためにかかった費用のことで、売却時に発生した仲介手数料や税金などがあります。
「取得費」とは、取得のためにかかった費用で、不動産の購入代金や測量費、購入時の仲介手数料などの総称を指します。
譲渡所得がマイナスであれば、税金は発生しないので確定申告も不要です。ただし、他の所得との損益通算で税金を抑えられるケースもあるので、確定申告をおこなっても良いでしょう。

【 参考:No.2250 損益通算/国税庁

はじめての不動産売却は、五條建設にお任せください

不動産売却で成功を収めるには、信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。不動産取引は大きな金額が動くので、信頼して任せられるパートナーを選ぶことで、成約する売買代金が変わるケースもあるからです。
弊社は横浜に根差して半世紀以上、住まいに関するさまざまな業務をおこなっており、売却相談や物件査定(もちろん訪問査定)も承っております。不動産のことで困りごとがございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

 

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